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OEM車は恥ずかしい?後悔しないための知識と賢い選び方

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「OEM車って、何だか偽物みたいで恥ずかしい…」と感じていませんか。価格が魅力的な一方で、周囲の目が気になり購入をためらってしまう気持ちは、よく分かります。

しかし、OEM車が恥ずかしいという考えは、その仕組みを正しく知らないことから来る誤解かもしれません。

この記事では、そもそもOEM車とは何かという基本から、OEMの欠点やデメリット、そしてメリットについて、多角的に解説します。OEMのほうが安いのはなぜか、結局誰が買うのか、といった素朴な疑問にもお答えします。さらに、マツダOEMのメリットは何ですか?という具体的な問いや、トヨタとスバルの関係性、日産とスズキのOEMは終了した?といった最新の動向まで、あなたが抱えるモヤモヤを解消する情報を網羅しました。

この記事を最後まで読めば、OEM車は恥ずかしいという先入観がなくなり、あなたにとって本当に価値のある一台を見つけるための、確かな知識が身につくはずです。

この記事でわかること
  • OEM車が恥ずかしいと言われる本当の理由
  • 購入者とメーカー双方から見たメリットとデメリット
  • 代表的なOEM車とオリジナル車の関係性
  • 自分にOEM車が向いているかどうかの判断基準
目次

OEM車は恥ずかしい?その理由と実態を解説

OEM車は恥ずかしい?その理由と実態を解説
POINT
  • OEM車とは何かを分かりやすく解説
  • なぜOEM車は恥ずかしいと言われるのか
  • OEMの欠点、デメリット、メリットを比較
  • OEMのほうが安いのはなぜなのか
  • トヨタとスバルのOEM車と共同開発車

OEM車とは何かを分かりやすく解説

OEM車とは何かを分かりやすく解説

OEM車とは、ある自動車メーカーが開発・製造した車を、別のメーカーが自社のブランド名(エンブレム)を付けて販売している車のことです。OEMは「Original Equipment Manufacturing」の略称で、自動車業界に限らず、家電や食品など様々な分野で広く用いられているビジネスモデルになります。

この仕組みにより、メーカーは自社でゼロから車を開発する時間やコストをかけずに、自社のラインナップを充実させることが可能です。

例えば、代表的な例としてトヨタの「ライズ」が挙げられます。この車は、ダイハツが開発・製造している「ロッキー」という車がベースです。ダイハツが製造した車をトヨタが供給してもらい、トヨタのエンブレムを付けて「ライズ」として販売しています。この場合、製品を製造・供給するダイハツが「受託側」、供給を受けて販売するトヨタが「委託側」という関係です。

このように、OEM車は見た目や基本的な構造は供給元のオリジナル車と同じでありながら、異なるブランドから提供されるという特徴を持っています。

なぜOEM車は恥ずかしいと言われるのか

OEM車が「恥ずかしい」と感じられる背景には、いくつかの理由が考えられます。最も大きな要因は、「オリジナルではない」「本物ではない」というブランドイメージから来る偏見です。

車に詳しい人の中には、その車の本来の開発・製造メーカーを知っているため、エンブレムだけを変えたOEM車を「偽物」や「コピー品」のように捉えてしまうことがあります。特に、車の性能や歴史、ブランドのこだわりに価値を見出す方にとっては、OEM車は安易な選択に映ることがあるのかもしれません。

また、OEM車はオリジナル車に比べて販売台数が少なく、知名度が低い傾向にあることも一因です。人気が低いという事実が、「選ぶ人が少ない車=あまり良くない車」というイメージに繋がり、所有することに気後れを感じさせる可能性があります。

さらに、インターネット上の掲示板やSNSでは、知識不足から来る誤解や個人の偏見に基づき「OEM車はダサい」といった意見が発信されることも少なくありません。これらの情報に触れることで、OEM車に対するネガティブなイメージが増幅されてしまうのです。

しかし、これらの理由はあくまで個人の価値観やイメージに基づくものであり、車の性能や品質そのものを否定するものではありません。

OEMの欠点、デメリット、メリットを比較

OEM車の欠点、デメリット、メリットを比較

OEMという仕組みは、車を製造・販売するメーカー側と、それを購入するユーザー側の双方にとって、メリットとデメリットが存在します。一方的な利点だけではなく、それぞれの立場から見た課題を理解することが、OEM車を正しく評価する上で大切です。

メーカー側の視点

メーカーにとって、OEMは経営戦略上の重要な選択肢です。

項目メリットデメリット
委託側
(供給を受ける側)
・開発コストなしで車種を増やせる
・自社にないセグメントの車を販売できる
・販売網を有効活用できる
・グレードや仕様の自由度が低い
・売れ残り時の在庫リスクを抱える
・自社開発の力が弱まる懸念
受託側
(供給する側)
・生産台数が増え、製造コストを削減できる
・他社ブランドでの販売による売上増加
・工場の稼働率を向上できる
・他社に売れ筋を供給すると自社の利益が減る
・供給先の販売力に依存する
・相手先のブランドイメージに影響される

委託側は低コストでラインナップを拡充できる一方、供給されるモデルのグレードが限られたり、売れ行きが悪ければ余剰在庫を抱えるリスクがあります。受託側は大量生産によるコストダウンが図れますが、供給先の販売力に依存するという側面も持ち合わせています。

購入者側の視点

私たち購入者にとっても、OEM車を選ぶことには良い点と注意すべき点があります。

項目メリットデメリット
メリット・オリジナル車より安く購入できる可能性がある
・納車までの期間が短い場合がある
・付き合いのある販売店で他社製の車が買える
・選択肢が増える(ディーラー、一部仕様など)
・選べるグレードやオプションが少ない傾向
・下取り価格(リセールバリュー)が低くなりがち
・「オリジナルではない」という心理的な要素
・ディーラーが販売に消極的な場合がある

購入者にとって最大のメリットは、価格や納期の面で有利になる可能性があることです。一方で、選べる仕様が限られたり、将来的な下取り価格がオリジナル車より低くなる可能性がある点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

OEMのほうが安いのはなぜなのか

OEM車のほうが安いのはなぜなのか

OEM車がオリジナル車よりも安く購入できる場合があるのには、主に二つの理由が考えられます。

一つ目は、新車購入時の「値引き額」です。OEM車を販売するディーラーにとって、その車は自社で開発した主力商品ではないことが多いです。そのため、販売目標を達成するための戦略的な車種として、あるいは他社のオリジナル車と競合させるために、通常よりも大きな値引きを提示してくれることがあります。供給された車を速やかに販売したいというディーラー側の事情が、購入者にとっては価格的なメリットに繋がるわけです。

二つ目は、「中古車市場での人気」が関係しています。一般的にOEM車は、供給元のオリジナル車に比べて知名度が低く、中古車市場での需要も限定的です。需要と供給のバランスから、中古車としての販売価格がオリジナル車よりも低く設定される傾向にあります。これは、売却時の下取り価格が低くなるデメリットにも繋がりますが、逆に中古でOEM車を購入しようとする人にとっては、割安で手に入れられるチャンスとなります。

ただし、全てのケースでOEM車が安いわけではありません。後述するトヨタ「ライズ」のように、OEM車の方が人気となり、価格が逆転する現象も存在します。

トヨタとスバルのOEM車と共同開発車

引用:SUBARU

トヨタとスバルの関係は、自動車業界における協力関係の多様性を示す良い例です。両社の関係には、OEMと、それとは異なる「共同開発」の二つの側面があります。

まずOEMですが、これは一方が開発・製造した車を、もう一方が供給してもらう形式です。過去には、トヨタの「ラクティス」がスバルにOEM供給され、「トレジア」という名前で販売されていました。これは、スバルがトヨタ製のコンパクトカーを自社ラインナップに加えた典型的なOEMの例です。

一方、「共同開発車」は、両社が協力して企画・開発の段階から関わる車を指します。代表的なのが、トヨタの「86(現GR86)」とスバルの「BRZ」です。このスポーツカーは、エンジンやシャシーといった基本骨格をスバルが中心となって開発し、企画やデザインにはトヨタも深く関わっています。そして重要なのは、製造は全てスバル側の工場で行われている点です。

このように、OEM車が基本的にエンブレムや一部のデザインが違うだけの同一車種であるのに対し、共同開発車は開発プロセスに両社が関与し、それぞれのブランドの味付けが施されているという明確な違いがあります。

恥ずかしいは誤解?賢いOEM車の選び方

恥ずかしいは誤解?賢いOEM車の選び方
POINT
  • 結局OEM車は誰が買うのか
  • マツダOEMのメリットは何ですか?
  • 日産とスズキのOEMは終了した?
  • オリジナルより人気があるOEM車も存在
  • 購入後の下取り価格は安くなる?
  • 結論:OEM車は恥ずかしい選択ではない

結局OEM車は誰が買うのか

結局OEM車は誰が買うのか

OEM車を選ぶ人には、いくつかの共通した特徴が見られます。車のブランドイメージや「オリジナルであること」に固執せず、より実用的で合理的な視点から車選びをする方が多いと言えるでしょう。

コストパフォーマンスを最優先する人

車の購入や維持にかかる費用をできるだけ抑えたいと考える人にとって、OEM車は非常に魅力的な選択肢です。前述の通り、OEM車はオリジナル車と性能が同じでありながら、値引き交渉がしやすかったり、中古車価格が安かったりする傾向があります。通勤や買い物のための「足」として、車をあくまで移動手段と割り切れる人にとっては、ブランド名よりも経済的なメリットが大きく上回ります。

納期の早さを求める人

転勤や家族構成の変化などで、急いで車が必要になるケースがあります。人気のあるオリジナル車の場合、注文してから納車まで数ヶ月、場合によっては1年以上待つことも珍しくありません。一方で、OEM車は比較的在庫に余裕があることが多く、注文から納車までの期間が短い傾向があります。すぐに車を手に入れたいというニーズを持つ人にとって、納期の短さは大きな利点となります。

特定のディーラーとの付き合いを大切にする人

長年にわたって付き合いのあるディーラーや、信頼できる営業担当者から車を購入したいと考える人もいます。例えば、ずっとマツダ車を乗り継いできた人が、セカンドカーとして軽自動車が必要になったとします。この場合、わざわざ馴染みのないスズキのディーラーに行くのではなく、信頼関係のあるマツダのディーラーで、スズキからOEM供給されている軽自動車(例:フレア)を購入する、という選択は非常に自然です。メンテナンスやアフターサービスも一括で任せられるため、安心感があります。

マツダOEMのメリットは何ですか?

引用:MATSUDA

マツダのディーラーで軽自動車を購入することには、ユーザーにとって具体的なメリットがいくつか存在します。現在、マツダは軽自動車の自社開発・製造を行っておらず、販売している全ての軽自動車はスズキからのOEM供給を受けています。

では、なぜ供給元であるスズキではなく、あえてマツダでOEM車を買うのでしょうか。その理由として、以下のような点が挙げられます。

メーカーオリジナル車(スズキ)OEM車(マツダ)
軽ハイトワゴンワゴンRフレア
軽スーパーハイトワゴンスペーシアフレアワゴン
軽セダンアルトキャロル
軽クロスオーバーハスラーフレアクロスオーバー

一つ目のメリットは、値引き交渉のしやすさです。前述の通り、マツダのディーラーにとっては自社開発車ではないため、利益を多少削ってでも販売台数を確保したいというインセンティブが働くことがあります。これが、スズキのディーラーよりも大きな値引きを引き出せる可能性に繋がります。

二つ目は、店舗の利便性やサービスの質です。自宅や職場の近くに信頼できるマツダの店舗はあるが、スズキの店舗は遠い、あるいは小規模で代車や試乗車の数が少ない、というケースも考えられます。普段から利用している店舗で、質の高いサービスを受けながら軽自動車の相談や購入、メンテナンスができるのは大きな安心材料です。

他にも、マツダ独自の延長保証サービスを利用できたり、他のマツダ車とまとめてメンテナンスをお願いできたりと、長年の付き合いがある顧客にとっては多くの利点があると考えられます。

日産とスズキのOEMは終了した?

過去には、スズキが製造する軽自動車が日産へOEM供給されていた時期がありました。例えば、スズキの「MRワゴン」が日産の「モコ」として、「パレット」が「ルークス」として販売されていたのが代表例です。

しかし、現在では乗用車におけるスズキから日産へのOEM供給は、基本的に終了しています。

その理由は、日産が三菱自動車と軽自動車事業に関する合弁会社「NMKV」を設立し、共同で軽自動車の企画・開発を行う体制に移行したためです。この協力関係から生まれたのが、日産の「デイズ」や「ルークス」、三菱の「eKワゴン」や「eKスペース」といった、現在の主力軽自動車です。

したがって、乗用モデルに関しては、日産はスズキからのOEM供給に頼る必要がなくなりました。

ただし、商用車の分野では、現在も一部でOEM関係が続いています。例えば、スズキの軽商用バン「エブリイ」や軽トラック「キャリイ」は、今でも日産やマツダ、三菱へOEM供給されています。乗用車と商用車では、メーカー間の協力関係が異なる場合がある点を理解しておくと良いでしょう。

オリジナルより人気があるOEM車も存在

オリジナルより人気があるOEM車も存在

一般的にOEM車はオリジナル車よりも販売台数が少ない傾向にありますが、中にはその人気が逆転し、OEM車のほうが多く売れるというケースも存在します。その最も顕著な例が、トヨタ「ライズ」とダイハツ「ロッキー」の関係です。

ライズはロッキーのOEM車であり、基本的な設計や製造はすべてダイハツが行っています。しかし、実際の販売台数を見てみると、ライズがロッキーを大幅に上回る状況が続いています。日本自動車販売協会連合会の統計によると、2023年の年間販売台数はライズが64,995台であったのに対し、ロッキーは15,252台でした。

この人気の逆転現象が起きる最大の理由は、トヨタが持つ圧倒的なブランド力と、全国に広がる強力な販売ネットワークです。車の性能が同じであれば、より信頼性や安心感のあるブランドを選びたいという消費者の心理が働きます。また、店舗数が多く、気軽に立ち寄れるトヨタのディーラーでライズを目にする機会が多いことも、販売台数を押し上げる大きな要因となっています。

このように、供給先のブランドイメージや販売戦略によっては、OEM車がオリジナル車を凌ぐ人気を獲得することも珍しくありません。

購入後の下取り価格は安くなる?

OEM車の購入後の下取り価格は安くなる?

OEM車を売却する際、下取り価格(リセールバリュー)はオリジナル車に比べて低くなる傾向がある、というのは事実です。これは、新車選びにおいて注意すべきデメリットの一つと言えます。

価格が低くなる主な理由は、中古車市場における知名度と人気の差です。一般的に、オリジナル車のほうが広く知られており、中古車を探している人からの需要も高くなります。中古車販売店は、より多くの人が求める、つまり「売りやすい」オリジナル車の方に高い査定額を付けがちです。

また、OEM車はグレードや特別仕様車のバリエーションがオリジナル車よりも少ないことが多く、中古車市場で人気となりやすい魅力的なグレードが存在しない場合もあります。これも査定額が伸び悩む一因となります。

ただし、これも全ての車種に当てはまるわけではありません。前述のトヨタ「ライズ」のように、OEM車の方が圧倒的に人気がある場合は、下取り価格もオリジナル車であるダイハツ「ロッキー」と同等か、あるいはそれ以上になることも十分に考えられます。

車を数年で乗り換える予定があり、下取り価格を重視する方は、購入を検討しているOEM車の中古車市場での人気や相場を、事前に調べておくと良いでしょう。

結論:OEM車は恥ずかしい選択ではない

  • OEM車は他社が製造した車を自社のブランド名で販売する仕組み
  • 「恥ずかしい」という感情はブランドイメージやネット上の偏見から生じることが多い
  • 車の基本的な性能や品質は供給元のオリジナル車と全く変わらない
  • メーカー側のメリットは開発コストをかけずにラインナップを拡充できる点
  • 供給元メーカーは生産台数を増やし製造コストの低減が図れる
  • 購入者側のメリットはオリジナル車より安く手に入る可能性があること
  • 納車期間がオリジナル車に比べて短い場合がある
  • 長年付き合いのあるディーラーで他社メーカーの車を購入できる
  • デメリットとして選べるグレードやオプションが少ないことがある
  • 売却時の下取り価格がオリジナル車より低くなる傾向がある点は注意が必要
  • トヨタのライズのようにOEM車のほうが人気になる逆転現象も存在する
  • OEM車と共同開発車は開発への関与の度合いが異なる
  • ブランドにこだわらずコストパフォーマンスや納期を重視する人に向いている
  • 車の本質的な価値(性能、価格、利便性)を冷静に比較して選ぶことが大切
  • OEM車は仕組みを正しく理解すれば、合理的で賢い選択肢の一つになる
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