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ポータブル冷蔵庫とポータブル電源の組合せは?容量や選び方を徹底解説

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キャンプ、特に日差しが強い夏や計画が楽しみな連泊において、ポータブル冷蔵庫は食材や飲み物を新鮮に保つための力強い味方です。

しかし、その性能を最大限に引き出すには、最適なポータブル電源の選び方を理解することが欠かせません。もし電源選びで失敗すると、後悔につながるだけでなく、せっかくのキャンプが台無しになる可能性もあります。この記事では、ポータブル冷蔵庫を安心して利用するために、電源選びの基本から具体的な応用まで、分かりやすく解説します。

この記事でわかること
  • ポータブル電源の基本的な仕組みとスペックの見方
  • お持ちの冷蔵庫に必要な電源容量や出力の計算方法
  • ソロやファミリーなどキャンプスタイル別の最適なモデル
  • 電源を長持ちさせるための省エネ運用テクニック
目次

ポータブル冷蔵庫の電源おすすめ【失敗しない選び方】

POINT
  • まずはポータブル電源の基本と仕組みを解説
  • 冷蔵庫に必要な容量(Wh)の計算方法
  • 起動電力を考慮した出力(W)の確認
  • 安全な電力供給のための純正弦波とは
  • あると便利なパススルー機能について

まずはポータブル電源の基本と仕組みを解説

ポータブル冷蔵庫の電源を選ぶにあたり、まずはポータブル電源がどのような製品なのかを理解しておくことが大切です。ポータブル電源とは、簡単に言えば「持ち運びが可能な大容量の蓄電池」を指します。内部にリチウムイオン電池などを搭載し、蓄えた電気を様々な形式で出力できる点が最大の特徴です。

一般的なモバイルバッテリーが主にスマートフォンの充電など、USBポートからの低電力な給電を目的としているのに対し、ポータブル電源はAC100Vのコンセント出力、DC(シガーソケット)出力、そしてUSB出力と、多彩なポートを備えています。このため、ポータブル冷蔵庫のような家電製品から、電気毛布、小型の扇風機まで、幅広い機器を電源のない屋外で利用できるようになります。

言ってしまえば、屋外に家庭用のコンセントを持ち出す感覚で使える便利なアイテムであり、キャンプや車中泊、さらには防災用品としても注目を集めています。ポータブル冷蔵庫を安定して稼働させるためには、このポータブル電源の性能を正しく理解し、適切な製品を選ぶことが最初の鍵となります。

冷蔵庫に必要な容量(Wh)の計算方法

ポータブル電源を選ぶ上で最も重要な指標の一つが、バッテリーの容量です。この容量は「Wh(ワットアワー)」という単位で示され、数値が大きいほど長時間にわたって電力を供給できます。

自分のポータブル冷蔵庫に必要な容量を算出するための基本的な計算式は、非常にシンプルです。

必要な容量(Wh) = 冷蔵庫の消費電力(W) × 使用したい時間(h)

例えば、消費電力が40Wのポータブル冷蔵庫を、キャンプで10時間使用したい場合を考えてみましょう。この場合の計算は「40W × 10h = 400Wh」となります。したがって、最低でも400Whの容量を持つポータブル電源が必要になる、という目安が立ちます。

ただし、これはあくまで理論上の数値です。実際には、ポータブル電源から電気を出力する際に約10~20%の電力変換ロスが生じます。また、外気温や冷蔵庫の開閉頻度によっても消費電力は変動するため、計算で出た数値よりも余裕を持たせることが肝心です。

安心して使うためには、算出した必要容量の1.2倍から1.5倍程度の容量を持つモデルを選ぶことを推奨します。

冷蔵庫の消費電力1泊(約12h)での必要容量の目安2泊(約24h)での必要容量の目安
30W432Wh~864Wh~
45W648Wh~1296Wh~
60W864Wh~1728Wh~

(注)電力変換ロスを20%と仮定し、1.2倍で計算した理論値です。

起動電力を考慮した出力(W)の確認

容量(Wh)と並んで、もう一つ確認すべき重要なスペックが「出力」です。出力は「W(ワット)」という単位で示され、そのポータブル電源が一度にどれだけ大きな電力を供給できるかを表します。

特にポータブル冷蔵庫のようなモーター(コンプレッサー)を内蔵する家電は、運転を開始する瞬間に、通常運転時よりもはるかに大きな電力を必要とします。この一時的に必要となる電力を「起動電力」と呼びます。一般的に、起動電力は通常時の消費電力の2倍から5倍程度になることも珍しくありません。

このため、ポータブル電源の「定格出力」が、冷蔵庫の「消費電力」だけでなく、「起動電力」をも上回っているかを確認する必要があります。仮に、冷蔵庫の消費電力が45Wであっても、起動電力が100W必要だとします。この場合、定格出力が80Wのポータブル電源では、冷蔵庫を起動させることすらできません。

冷蔵庫の正確な起動電力は製品仕様書に記載されていないことも多いですが、少なくとも定格消費電力の3倍程度の定格出力を持つポータブル電源を選んでおくと、多くのケースで対応できます。容量が十分でも出力が足りなければ使えないため、この点は必ずチェックしましょう。

安全な電力供給のための純正弦波とは

ポータブル電源が出力するAC100Vの電気には、波形のタイプが存在します。ポータブル冷蔵庫のような精密なモーターを搭載した家電製品に使用する場合、必ず「純正弦波(せいげんは)」に対応したモデルを選ぶ必要があります。

純正弦波の重要性

純正弦波とは、私たちの家庭に供給されている電力と同じ、非常に滑らかな波形を持つ電気のことです。この滑らかな波形は、家電製品が本来の性能を最大限に発揮し、安定して動作するために設計されています。

冷蔵庫やパソコン、一部の医療機器など、デリケートな電子回路を持つ製品は、この純正弦波の電力でなければ正常に動作しないか、最悪の場合、故障の原因となる可能性があります。

矩形波・修正正弦波との違い

一方、安価なポータブル電源の中には、「修正正弦波」や「矩形波(くけいは)」といった波形のモデルも存在します。これらは波形が角張っており、構造がシンプルなため安価に製造できますが、精密機器への使用には適しません。このような電源を冷蔵庫に使用すると、モーターが異常に発熱したり、異音が発生したり、寿命を著しく縮めたりするリスクがあります。

現在、キャンプ用途で販売されている主要メーカーのポータ-ブル電源の多くは純正弦波を採用しています。しかし、価格の安さだけで選んでしまうと、修正正弦波のモデルである可能性も否定できません。大切な冷蔵庫を長く安心して使うためにも、製品仕様で「出力波形:純正弦波」と明記されていることを必ず確認してください。

あると便利なパススルー機能について

ポータブル電源が持つと便利な機能の一つに「パススルー機能」が挙げられます。これは、ポータブル電源本体をコンセントやソーラーパネルから充電しながら、同時に冷蔵庫などの機器に給電できる機能のことです。

この機能が特に役立つのは、AC電源が利用できるオートキャンプサイトでの利用シーンです。サイトの電源からポータブル電源を充電し続け、ポータブル電源から冷蔵庫に給電します。

こうすることで、ポータブル電源のバッテリー残量を消費することなく、冷蔵庫を稼働させ続けることが可能になります。そして、夜間や少しサイトを離れる際には、満充電の状態のポータブル電源と共に移動できるため、電源切れの心配がありません。

ただし、注意点も存在します。パススルー機能は、電源内部のバッテリーや制御回路に一定の負荷をかける動作です。このため、メーカーが公式に「パススルー対応」を謳っている製品を選ぶことが大切です。

非対応のモデルで同様の使い方をすると、バッテリーの劣化を早めたり、予期せぬトラブルにつながったりする可能性があります。長期的な利用を考えると、この機能の有無は快適性を左右する一つのポイントになると考えられます。

シーン別ポータブル冷蔵庫の電源おすすめモデル

POINT
  • ソロキャンプに最適なコンパクトモデル
  • デュオキャンプで活躍するバランスモデル
  • ファミリーキャンプも安心の大容量モデル
  • 連泊に便利なソーラーパネル対応モデル

キャンプスタイル別 容量目安表

キャンプスタイル主な滞在日数冷蔵庫の容量目安ポータブル電源の容量目安
ソロキャンプ日帰り〜1泊10L 〜 20L
飲み物中心なら小型、自炊するなら中型
300Wh 〜 500Wh
冷蔵庫のみなら300Wh、他も充電するなら500Wh以上
デュオキャンプ1泊〜2泊20L 〜 30L
1泊2日の食材や飲み物に十分なサイズ
500Wh 〜 1,000Wh
冷蔵庫と他家電の併用も可能なバランス型
ファミリーキャンプ1泊〜連泊30L 〜 50L以上
人数や日数に応じて大容量が必要
1,000Wh 〜 2,000Wh以上
冷蔵庫に加え、扇風機や電気毛布などの使用も想定

ソロキャンプに最適なコンパクトモデル

ソロキャンプでは、装備全体の軽量化とコンパクトさが最優先課題となります。このため、ポータ-ブル電源も携帯性を重視したモデルが最適です。

具体的には、容量が200Whから400Wh程度の製品が選択肢の中心になるでしょう。このクラスの容量があれば、消費電力が30W前後の小型ポータブル冷蔵庫を、日中の数時間から1泊程度稼働させることが可能です。例えば、デイキャンプで日中だけ冷たい飲み物を楽しんだり、1泊のキャンプで夜間の食材を保存したりといった用途には十分対応できます。

メリットは、何と言ってもその軽さと小ささです。重量が3kg前後のモデルも多く、バックパックに入れての移動やバイクへの積載も現実的になります。

一方で、デメリットは容量の少なさです。冷蔵庫を長時間連続で稼働させることや、他の家電製品を併用することは難しくなります。あくまで「短時間の冷蔵」に目的を絞り、最低限の電力源として割り切って活用するのが賢い使い方と言えます。

デュオキャンプで活躍するバランスモデル

2人で楽しむデュオキャンプでは、携帯性と容量のバランスが取れたモデルが活躍します。ソロキャンプよりは多くの食材や飲み物を必要としますが、ファミリーキャンプほど大きな装備は必要ありません。

このようなスタイルには、容量が500Whから750Whクラスのポータブル電源が適しています。この容量があれば、30L~40Lクラスの中型冷蔵庫を1泊2日のキャンプで安定して稼働させることが可能です。

さらに、冷蔵庫を使いながら、スマートフォンの充電や小型のLEDランタン、夏場であれば小型扇風機といった、キャンプの快適性を向上させる他のガジェットも併用できる余裕が生まれます。

このクラスのモデルは、多くのメーカーが主力製品としてラインナップしており、機能やデザインの選択肢が豊富な点も魅力の一つです。

注意点としては、重量が5kgから8kg程度となり、持ち運びにはある程度の力が必要になることが挙げられます。公共交通機関での移動には少し不向きで、基本的には車でのキャンプが前提となるでしょう。

ファミリーキャンプも安心の大容量モデル

4人以上でのファミリーキャンプや、友人たちとのグループキャンプでは、求められる電源容量も格段に大きくなります。大人数分の食材を保管するための大型冷蔵庫や、複数の家電を同時に使うことを想定すると、1000Wh以上の大容量モデルが頼りになります。

このクラスのポータブル電源があれば、50Lを超える大型の冷蔵庫を2泊3日といった長期間にわたって安定して稼働させることが可能です。また、夏場はサーキュレーター、冬場は電気毛布といった、消費電力の大きい快適家電も気兼ねなく使用できます。これにより、キャンプの快適性は飛躍的に向上し、小さなお子様がいる場合でも安心して過ごせる環境を整えられます。

もちろん、デメリットも存在します。まず、本体サイズが大きく、重量も10kgを超える製品がほとんどであるため、持ち運びや車への積載には相応のスペースと労力が必要です。さらに、価格も高額になるため、使用頻度や本当に必要な容量を慎重に見極めることが求められます。

連泊に便利なソーラーパネル対応モデル

2泊以上の連泊キャンプや、電源設備のない野営地で過ごす際には、ソーラーパネルで充電できるポータブル電源がその真価を発揮します。

ほとんどのポータブル電源はソーラー充電に対応した入力ポートを備えています。別売りのソーラーパネルを接続することで、日中に太陽光を利用して電源本体のバッテリーを充電できます。これにより、冷蔵庫が電力を消費する一方で、同時にバッテリー残量を回復させることが可能になるため、理論上は長期間にわたって電力を使い続けることができます。

特に、多くの電源で採用されているMPPT(最大電力点追従制御)方式は、天候に応じて最も効率の良い発電量を引き出してくれるため、晴れた日中であれば冷蔵庫の消費電力を上回る発電も期待できます。

ただし、便利な点ばかりではありません。ソーラーパネルは追加の機材となるため、荷物が増え、設置の手間もかかります。また、最大の注意点は、発電量が天候に大きく左右されることです。曇りや雨の日には発電量が大幅に低下、あるいはほとんど期待できないことも理解しておく必要があります。充電手段として過信せず、あくまで補助的な電力源として計画に組み込むのが賢明です。

最適なポータブル冷蔵庫の電源おすすめ総括

  • ポータブル電源は持ち運び可能な大容量バッテリー
  • 冷蔵庫には家庭用コンセントと同じ純正弦波が必須
  • 必要容量は「消費電力(W) × 使用時間(h)」で計算
  • 電力変換ロスを考え計算値の1.2倍以上の容量を選ぶ
  • 定格出力は冷蔵庫の起動電力を上回るものを選ぶ
  • 起動電力は通常消費電力の3倍程度を目安に考える
  • パススルー機能は充電しながら給電できる便利な機能
  • ソロキャンプでは携帯性を重視し200Whから400Whが目安
  • デュオキャンプでは容量と携帯性のバランスで500Whから750Whが最適
  • ファミリーキャンプでは複数の家電利用を想定し1000Wh以上が安心
  • 連泊や電源なしサイトではソーラーパネル充電が有効
  • ソーラー発電は天候に左右されるため過信は禁物
  • 自分のキャンプスタイルを明確にすることが最適な一台を見つける近道
  • 価格だけでなく安全性や機能性を総合的に判断する
  • この記事を参考に後悔のないポータブル電源を選ぶ
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